The vernacular controversies about WIZARDRY

WIZARDRYに関する局地的論争

SさんのRPG愚痴部屋WIZARDRY関連記事を再編集するにあたって

「SさんのRPG愚痴部屋」という世にも過激なWEBPAGEを製作されていたSさんの書かれたWIZARDRY関連記事を本人の許可をとって、damnedが再編集してupしたものです。

僕もSさんと同じく、BCF以降のWIZARDRYが熱狂的に好きなのですが、日本のいささか偏向的なWIZARDRYコミュニティの世論形成の仕方と新規PLAYERへの同調圧力の掛け方には腹を立てていました。

艱難辛苦を乗り越えて世に出たWIZARDRY8は、BCF以降大好き人間にとっても予想外の出来の良さであったにもかかわらず、偏見の塊である「国産CRPG愛好家だけどもWIZもしらんではないよ層」は相変わらず「WIZは1が一番。」とか「いやーやっぱ5と外伝でしょ」などとのたまいながら旧WIZARDRYの国産劣化COPYで遊んでいるようです。

おまけに「新規にWIZARDRYを始めてみようか。とりあえず8が最新作だから8をやろうかな」、という人に向かって「とにかくファミコン版の1がおすすめ、6以降は別のゲームだから...」などとまくし立てられる方もWEB空間上にはいるようです。

こういう方に限って、BCF以降は雑誌の意見とかユーザーコミュニティの意見を真に受けて実際は遊んでいなかったり、遊んでいたとしても出来の著しく悪い家庭用ゲーム機版だったりするので、閉口してしまいます。

まあ、世の中人の数だけ意見があって良いと思うので、それはそれでいいでしょう。

でも、「100の質問」などで、同調圧力をかけて「日本のWIZコミュニティの中に、BCF以降好き人間を増やしてはならない、ナランノダー!!」みたいな意図がミエミエなんですけど。あの質問の並びは何ですか?

僕はそもそもWIZ議論に関係なく「XX某に100の質問!」が嫌いです。日本の個人webpageを陳腐化させる要因の一つだと思います。アンケートみたいなのを実施する方も、答える側も自分独自のフォーマットでやるべきだ!!

確かに「皆と同じ」のどろっとした連帯感の中に居る時は、主観と客観がごちゃ混ぜになったような感じがして、ある種の快楽状態にしてくれるような面もありますが、デメリットが多すぎると思うのです。

日本って極少数の例外を無視する単一民族社会だし、同調圧力掛けてナンボな所がありますからね。MorrowindのNPCの中には"What I do is my own affair."という反応を返すNPCがいるけど、ああいう姿勢を日本人は理解しなきゃいけない時期に来ていると思います。同調圧力を掛け合っていた方が生存戦略に適っていた時代は終わったのです。皆で一緒に同じやり方で農業をやってる時代じゃないんです。(農家も独自性を打ち出す時代!!)

それでは「大日本BCF以降も大好きなんだよ派」の主張もさせてもらいます!

Sさん、WIZARDRYを語る

日本人ならすでに誰でも知っているタイトルであるWizardry(以下Wiz)という作品について、ここでは私の思いを書いてみたいです。一言にWizと言っても、この作品は本家であるSir-tech社が開発した作品と、他では国内の日本のメーカーが開発した作品とに分ける事ができます。

偉大なる初代Wiz1は、今を遡る事21年も前の1981年に、Apple II版でこの世に生まれたのです。それが数年後に国内機(damned注:今みたいに家庭用のパソコンが、全てIBM互換機一色ではなくて、国内メーカーが独自企画のパソコンを作っていた時代の国産パソコンのことである。といってもCPUはザイログ社だったり、Intelだったりする。)のPC88やPC98に移植され、簡潔にまとまって操作性の優れたシステムと、後を引くようなレベルアップの楽しみとアイテム収集の楽しみが受けて、そこから日本でも絶大な支持を得ていった作品なのです。

まさに!このWiz1の魅力という物が、ここから20年経った今でも"RPGのあり方"と誤解でもされているかのように、もはや当たり前に広まってしまった。

(damned注:ここでSさんが指摘されていることは、日本のWIZコミュニティの中核を担っている人達にあてはまることだと思われる。世の中にはRPGといえばアニメ的世界で繰り広げられる、糞尿トレンディードラマであると信じて疑わない人々が「ゲーマー」さんの間では主流である。わかりやすく言うと、日本語を母国語としていて、コンピューターゲームで遊ぶ人達の少数派としてWIZコミュニティが存在し、その中で流通しきった観念であるということだろう。ついでに言うと、洋ゲーマーの中でSingleのRPGで遊ぶ人間も少数派であり、大多数はMMORPGかFPSか特殊部隊もので遊ぶ。更に言うと「洋ゲーマー全体」の立場も悪く、パソコンゲーマーの70-90%はエロゲー派であり、毛唐の作るゲームに興味を示すというだけでなんだか村八分扱いである。)

Wiz1には一応シナリオという物がありますが、日本のファンの間では、一部の例外(じゃがいも長屋の廣田さん)を除いて、そんな部分など見てはいない人が多いのです。何度も何度も地下へ潜り、敵を倒してアイテムを漁って、それを延々と続けるのが日本のWIZARDRYコミュニティの公式見解としてのWiz1の魅力でした。

このWiz1にはラスボスも存在していて、それを倒せば一応エンディングっぽい物は見れます。しかしそれでゲームが終了するわけではなく、いつまでも殺戮と育成は続ける事ができるのです。

私もハマリました・・・当時は学校から帰ったらすぐにPC88に向かい、それこそ一日一善ならぬ「一日一回地下10階」が日課となっていたほどです。Wiz1を1年も続け、後にWiz2であるKnight of Diamondsが発売され、もちろんそれも手に入れて遊びました。このWiz2は、はっきり言って完全にクソゲーなんですが、それでもWizという名だけで、騙されたように遊んだものです。クリアするのは半日もかからなかったはず。

その後にWiz3もWiz4もWiz5も発売され、Wiz4以外はかなりの時間を投資したのも事実です。そうです!ここまでは私も、しつこいほどの戦闘を行って、良いアイテムが出るまで何度でも地下へ潜り、そして限りなく上を目指してレベルアップをする。これがCRPGの完全な姿で一番面白いと思い込んでいました。

(damned注:ここでSさんが指摘されていることは、リセットしまくり前提の家庭用ゲーム機版の愛好者で、なおかつReturn of WERDNA(WIZ4)で村正がただのゴミクズと化す「価値の逆転」を体験していない人に当てはまる事だと思います。WIZ4をやると、「レアアイテムとかで喜んでんじゃねーよボケ!!」という作者の声が聞こえてきます。死亡経験や失敗パターンを次に生かして遊び手自身が賢くならないと、越せない作りも家庭用ゲーム機版のみの体験者には受け入れられない内用だと思います。)

そしてWizという作品の中で、一番の問題作となるWizardry6 "Bane of the Cosmic Forge"が登場するのです。この作品はここまでのWizの形を思い切って破り、"殺戮育成アイテム収集"がメインのゲームから、「探査をする」「物語を読む」「生き残る」こういうのが主体の作品へとなったのです。このWiz6は、Wizardry原理主義者(初期の殺戮Wizを好む人)の人達には、それはもう毛嫌いされているかのような扱いを受けてきました。

(damned注:毛嫌いというより、評論家気取りのゲーマー体質が主流になり始めた事がでかいと私は考えます。「(なんだかよくわかんないけど)新しいWIZARDRYは本物のWIZじゃない」みたいな事をわめいてみると「本当のゲーマー」になったような気分になれるみたいな雰囲気が充満していたように思えます。実際にパソコン版で遊んで判断を下した人は少ないです。VGA16色のドロドロした雰囲気の画像が、自分の脳内に充満させていたアニメ的WIZARDRY世界と同居できない、という人もいたかもしれません。しかしねー恋愛とかを絡ませたアニメっぽい御ブンガクWIZの世界なんてパソコン版のマニュアルを読んだら0.3秒で崩壊しちゃうよ。WIZ4で遊んだらマーズアタックの火星人みたいに脳味噌破裂して死んじゃうんじゃないの?)
「Wizじゃない」

damned:いきなり意味不明ですよね。Ultimaだってモンデインと戦った頃と、ガーディアンと戦っていたときではシステムから思想にいたるまで全てが変わりまくっています。Might & Magicだって同じ。某武神とかエムパイアこそ「WIZじゃない」と思いますよ。

「アイテム集めができない」

damned:実はコレ、CDSでは地べたに置いたアイテムが消えないのでアイテム集めも可能なんですねー!知ってましたか原理主義者の皆様?

アイテムは集めるのでなく、冒険に生かしてこそ意味があるのだと思います。

「ダンマスWizだね〜」

damned:画面構成が似てるっていうだけで非難するなら、WIZ1だってUltima0,1のダンジョン部分の画面構成が類似してるから駄目なはず。こういうことを言う人は、ドラクエ3に対しても「UltimaフィールドWIZARDRYだねー」とか、トルネコの大冒険に対しても「Rogue LikeなUltimaフィールドWIZARDRYだねー」とか言わなきゃ駄目ですな。

「想像力が入り込む余地がないよ」

damned:たぶんこういう事を言う人は、一般的に言われる「ファンタジー系」のゲームに対して「恋愛とかを絡ませたアニメっぽい御ブンガクな世界(というか願望)」を想像してるんじゃないでしょうか。D.W.Bradley氏のテキスト描写は非常に洒脱な感じがするので、そういう世界をBCFに投影するのは無理ですな。角川スニーカー文庫ではないのです。むしろBCFになってテキストによる描写が非常に強化され、ナレーションを読んだ時の情景に対する想像力の喚起は強化されたと思います。「BCFの世界観が嫌いだし、よくわかんない」と言うのはなんだか悔しいから、「想像力の入り込む余地がないよ」と言っているだけのような気がします。

まあ、「くどい描写よりもシンプルな表現のほうがいい」というなら、まだ少しは解りますがね。僕はあのコテコテの表現がすきです。

「敵が復活しないので殺戮ができない」

damned:そんなにしたけりゃグルグル回ってランダムに遭遇する敵を虐殺してればいいじゃん。

要するに、「扉を蹴破って毎回遭遇する宝箱つき虐殺」がしたいということですよね。

もう数えると切りが無いほどの酷い評価ですね。しかし・・・これらの人のほとんどは、Wiz暦が浅いか、それともPCゲーム暦自体が浅いのでしょう。タイムリーにWiz1の直撃をPC88やPC98で食らった人達は、たぶん今の私と同じような考えを持っていると思います。上に挙げた中では「ダンマスWizだね〜」の台詞だけは笑っちゃいそうですが・・・

私はWiz6を発売日前後に購入して、そこから1ヵ月半みっちりとプレイしました。プレイし終わっての感想は、上に挙げているような物でもなく、「Wizの新しい挑戦は大成功だったね」、まずはこんな事を思っていたはずです。

今までの良いと言われてファンに受けていた部分を捨てて、そして新しい地点を目指した開発者達は素晴らしいと思います。そうでもしないと、いつまで経っても進歩も進化も何もない作品で終わっているはずです。

しかし、このWiz6の発売をきっかけとするかのように、アスキーを代表とする国内メーカーが、オリジナル和製Wizardryを作る事となってしまいました。確かに和製Wizの中でも、良く出来ていて面白い作品もあります。現に私は、アスキーのWiz外伝1から外伝4までは、最後まで楽しくプレイしているほどです。でもね・・・まったく成長がないんだよね。

初期Wizで当たり前とされてきた、クリアしてからの楽しみ。「Wizはクリアしても遊べるからね」 「クリアしてからアイテム集めもできないような物はWizじゃないよ」 「とてつもない大ボスやラスボスが居るのが真のWizだな」 書いてるだけで寒気がしますが・・・これが国内Wizの本道となっていきました。

シナリオ上のラスボスとかは弱く設定して、それ以降に余分にダンジョンを用意し、そこでいつまでの殺戮や育成やアイテム収集を行う事ができる物が、本当のWizと思われるようになっていきました。

それらを横目にWiz6の数年後にWiz7も発売され、記憶に新しいのは本家最終Wizとの噂もされ、結果的に最強のWizardryの座を獲得したWiz8が発売されました。Wizという作品は、ファンも作品も2つの勢力に分かれて、今でもどちからが優れているか戦っている作品でもあるのです。

2001年暮れに発売されたWiz8ですが、この作品こそ「偉大でありながら、間違ったCRPGのあり方を作ってしまった先祖のWiz1」に、肉親自らトドメをさして終わらせた作品。意味は分かりずらいでしょうが、私はこんな風に感じています。

たしかにWiz8でも戦闘は多い、多いというか戦闘の時間が長いというのが感想です。しかしWiz6からの流れであるアドベンチャー的な要素が沢山詰まっています。何よりWiz8で高評価なのが"究極のターン制戦闘モード"これを作り上げてくれた事でしょうか。初期Wizや和製Wizにありがちな、ボタンを連打しているだけで簡単に終わるような浅い戦いではなくなっています。

こんなのはWiz8の戦闘の一部に過ぎないのですが、歴代Wizの中で、いや歴代CRPGの中で、一番熱くて面白い戦闘ができる作品となっているのです。ここが感動する部分なんですよ。ここまで画面も進歩してゲーム内容も大きく変わっているのに、古典的なサイコロでの数値のやり取りが、いまだに生きている。

段々と何を言いたいのか分からなくなってきましたが、ここに述べたようにWizという作品を巡る日本ユーザーコミュニティの現状は酷い物だと言うことです。簡単に分けると・・・分けるというか殺戮Wizではなく、私が今認めれるWizは本家6〜8のみって事です。それ以外はRPG(Role Playing Game)とは名ばかりの、はっきり言って悪いCRPGの見本とまで言える作品に成り下がっているんじゃないかなあ。

しかしまあどんなに頑張った所で、Wizという作品は、まだまだRole Playing Gameの理想には到底遠いね。1ファンだからここも厳しく言いたい。やはりRPGとは演じれる事が全てだと思います。形はなんでもいい、自分の中で自由に何でもやれるのが本物だと思います。

以前に某ホームページに載せていた、私が書いたWizの記事もアップしました。書いたのは2002年の1月頃です。今回書いた上の内容より強烈ですので、コンシューマーWizファンの人は目を通さないほうがよろしいかと・・・

しかし撤回はしません。私が本当に感じた事なのですから。本当に素晴らしいと思えるWiz6BCFやWiz8が哀れでならない。殺戮Wiz派95% 新Wiz派5% 程度?ぐらいでしょうか。誰かが言わねばならないのです。

(2002年10月26日Sさん原文記述 2003年7月damned編集)